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EMSで消費税の輸出証明は可能なのか?
この記事の要点3行でわかる結論
- EMSや国際小包で輸出した売上も、消費税の輸出免税の対象です。税関の輸出許可書が出ない20万円以下の郵便物は、日本郵便の引受けを証する書類と発送伝票の控えで輸出の事実を証明します。
- 還付を受けるには「本当に輸出したこと」と「国内で仕入れたこと」の両方を書類で示す必要があります。2021年10月以後、郵便輸出は帳簿の記載だけでは認められません。
- 国内仕入の控除には仕入先の適格請求書が要件です。個人や免税事業者からの仕入は控除が制限されるため、仕入先ごとに書類を確認してください。
eBayやAmazonなどを通じて海外に商品を販売している方から、「EMSで送っているが、消費税の還付は受けられるのか」というご相談を多くいただきます。輸出許可書が手元にないため、輸出の証明ができないのではないかと心配されているケースがほとんどです。
結論から言えば、EMSや国際小包で輸出した売上も輸出免税の対象になり、消費税の還付は受けられます。ただし、輸出許可書の代わりになる書類が決まっており、それを保存していなければ免税は認められません。この記事では、EMS輸出で還付を受けるための考え方と、そろえるべき書類の全体像を説明します。
還付の仕組みそのものは、先に次の記事をお読みください。
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1. 還付には2つの証明が必要
輸出取引の消費税還付は、「国内で仕入れた商品を、海外へ販売した」という取引の流れを書類で裏付けることで成り立ちます。証明すべきことは2つです。
- 売上が本当に輸出されたものであること(輸出免税の要件)
- その仕入や経費が国内で消費税を支払ったものであること(仕入税額控除の要件)
この2つが書類で示せれば、輸出売上に対応する仕入の消費税が還付されます。EMSで送っているかどうかは、①の証明方法が変わるだけで、還付が受けられるかどうかの分かれ目ではありません。
2. EMSでも輸出の証明はできる
消費税法7条の輸出免税を受けるには、輸出の区分に応じた証明書類を7年間保存する必要があります。船便や航空貨物のように税関に輸出申告をして通関する貨物は、税関が発行する輸出許可書が証明書類です。
一方、価額が20万円以下の郵便物は税関への輸出申告が不要なため、輸出許可書が発行されません。そこで消費税法では、郵便物について別の証明方法を定めています。EMSや国際小包の場合は、日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類と発送伝票等の控えの両方を保存します。
注意点が2つあります。ひとつは、2021年(令和3年)10月1日以後の取引から、郵便物の輸出は帳簿の記載だけでは認められなくなったことです。改正前は、輸出の年月日・品名・数量・価額・受取人を記載した帳簿で足りていましたが、現在は日本郵便の書類が必要です。もうひとつは、20万円の判定はFOB価格、原則として実際の販売金額で行うことです。20万円を超える郵便物は税関への輸出申告が必要で、証明書類も輸出許可書になります。
税関価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続の見直しについて
小包・EMS・通常郵便それぞれの保存書類と記載事項、20万円判定の詳細、そして2026年10月からの改正については、次の記事で具体的に説明しています。
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やました君
「EMSだから証明できない」と考えて還付をあきらめている方がいますが、それは誤解です。逆に「EMSだから書類は要らない」というのも誤解です。発送伝票の控えと郵便局の受領証を、発送のたびに残すことがすべての前提になります。
3. 国内仕入の消費税は、何で証明するのか
②の国内仕入については、2023年10月に始まったインボイス制度により、要件が明確になりました。仕入税額控除を受けるには、帳簿に加えて、仕入先から受け取った適格請求書(インボイス)の保存が必要です。適格請求書発行事業者として登録している仕入先からの仕入であれば、受け取った請求書や領収書を保存するだけです。
国税庁No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項
問題になるのは、登録していない個人や免税事業者から仕入れる場合です。フリマアプリや個人間取引で商品を仕入れて輸出しているケースがこれに当たります。相手から適格請求書を受け取れないため、原則として仕入税額控除ができず、経過措置による部分的な控除にとどまります。仕入先が登録事業者かどうかで還付額が変わりますので、仕入先ごとに確認しておく必要があります。
国税庁No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存
なお、輸出免税の売上しかない事業者には、適格請求書を交付する義務はありません。自社が発行する側ではなく、受け取る側の書類が問題になるということです。
やました君
個人から仕入れたものは、相手の氏名・住所・金額が入った領収書を必ず残してください。誰から何をいくらで買ったのかが分からない仕入は、税務調査で控除を否認される典型例です。控除の可否とは別に、取引の実在を示す証拠として効きます。
4. 2026年10月から、何が変わるのか
令和8年度税制改正で、2026年10月1日以後に行われる輸出取引のうち、代金を現金等で受領したものについては、現行の証明書類に加えて輸入国における輸入許可書等の保存が必要になります。EMSで送る小口の輸出は現金決済になりやすいため、対象になる取引がある方は、決済を口座振込やカード決済に寄せるなど、今のうちに取引の流れを見直しておくことをおすすめします。
5. まとめ
- EMSや国際小包で輸出した売上も輸出免税の対象で、消費税の還付は受けられる。
- 20万円以下の郵便物は、輸出許可書の代わりに、日本郵便の引受証明と発送伝票の控えで輸出を証明する。2021年10月以後は帳簿だけでは不可。
- 20万円を超える郵便物は輸出申告が必要で、輸出許可書がなければ免税にならない。
- 国内仕入は適格請求書で控除する。個人や免税事業者からの仕入は控除が制限される。
- 2026年10月以後、代金を現金等で受領した輸出は、輸入国の輸入許可書等も保存する。
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よくある質問
EMSで送った輸出売上でも、消費税の還付は受けられますか?
はい。EMSや国際小包で輸出した売上も輸出免税の対象で、還付を受けられます。価額20万円以下の郵便物は税関への輸出申告が不要なため輸出許可書が発行されませんが、日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類と発送伝票等の控えを保存すれば、輸出の事実を証明できます。
EMSの輸出は、帳簿の記載だけで証明できますか?
いいえ。2021年(令和3年)10月1日以後に行われた取引からは、帳簿の記載だけでは輸出免税が認められません。改正前は輸出の年月日・品名・数量・価額・受取人を記載した帳簿で足りていましたが、現在は日本郵便が交付する書類が必要です。
個人やフリマアプリから仕入れた商品でも還付を受けられますか?
仕入税額控除が制限されるため、還付額が変わります。仕入先が適格請求書発行事業者として登録していなければ適格請求書を受け取れず、原則として控除ができず、経過措置による部分的な控除にとどまります。仕入先ごとに登録の有無を確認してください。
輸出売上しかない場合、インボイスの登録は必要ですか?
輸出免税の売上しかない事業者には、適格請求書を交付する義務はありません。還付の要件は、あくまで課税事業者であることです。ただし仕入側は別で、国内の仕入先から受け取った適格請求書の保存が仕入税額控除の要件になります。
2026年10月から、EMS輸出で必要な書類は変わりますか?
はい。2026年10月1日以後に行われる輸出取引のうち、代金を現金等で受領したものは、現行の証明書類に加えて輸入国における輸入許可書等の保存が必要になります。EMSの小口輸出は現金決済になりやすいため、決済を口座振込やカード決済に寄せるなど、今のうちに取引の流れを見直しておいてください。
<注記>この記事は、中小企業の経営者や経理担当者の方に向けて、制度の全体像を分かりやすく説明することを目的としています。細部の要件は省略している箇所があります。個別の判断については、顧問税理士または当事務所にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の法令等に基づいています。





