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三国間取引は消費税がかかるのか?

この記事の要点3行でわかる結論

  • 海外で仕入れた商品を日本に輸入せず、そのまま別の国へ販売する三国間取引は、譲渡の時に商品が国外にあるため国外取引となり、消費税はかかりません。
  • 国外取引でも、そのために国内で支払った経費の消費税は控除できます。個別対応方式では「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分します。
  • いったん日本に輸入してから輸出する場合は扱いが変わります。輸入時に輸入消費税を納め、輸出時は輸出免税となり、納めた輸入消費税は控除できます。

海外メーカーの日本代理店のように、海外から商品を仕入れて日本国内で販売するなら、国内の売上として消費税がかかります。ここは迷いません。

では、海外から仕入れた商品を日本に輸入せず、そのまま別の国のお客様へ販売した場合はどうなるでしょうか。商社や貿易会社で日常的に起きる取引で、三国間取引と呼ばれます。この記事では、消費税の判定と、見落とされやすい仕入税額控除の扱いを整理します。

1. 三国間取引とは何か

次のような取引を想定します。

  • 日本の会社が、スペインの会社から機械を仕入れる
  • その機械を、韓国の会社へ販売する
  • 機械は日本に輸入されず、スペインから韓国へ直接納品される
お金は日本を通るが、モノは日本に入らない日本国外自社仕入先・販売先代金の支払いスペインの会社へ代金の受取り韓国の会社から
機械はスペインから韓国へ直送されます。譲渡の時に資産が所在していたのは国外です

代金の支払いと受取りは日本の会社を経由しますが、モノは一度も日本の国境を越えません。売買契約の当事者は日本の会社ですし、利益も日本の会社に残ります。それでも消費税の判定は別の物差しで行います。

2. 資産の譲渡は「モノがどこにあったか」で判定する

消費税がかかるのは国内で行われた取引です。資産の譲渡については、消費税法4条3項1号によりその譲渡が行われる時においてその資産が所在していた場所で国内取引かどうかを判定します。

国税庁No.6210 国外取引

資産の譲渡は「譲渡の時にモノがどこにあったか」で決まる商品を売ったとき商品が国内にあった→ 国内取引(課税または免税)商品が国外にあった→ 国外取引(不課税)
消費税法4条3項1号。契約地や代金の通貨、取引先の国籍では判定しません

三国間取引では、韓国の会社へ譲渡した時点で機械はスペインにあります。国内に所在していないため国外取引となり、消費税は課税されません(不課税)。仕入側も同じで、スペインの会社から買った時点で機械は国外にありますから、こちらも国外取引です。

判定に使わないものを並べておきます。契約書を交わした場所、代金の通貨、取引先の国籍、送金した銀行の所在地。いずれも関係ありません。見るのは譲渡の時にモノがどこにあったかの一点です。


やました君

三国間取引を「輸出だから免税」と処理している例を見かけます。結果として消費税を上乗せしない点は同じですが、区分が違います。免税は国内取引の一種で課税売上割合の分子に入りますが、不課税はそもそも計算の外です。課税売上割合が95%を下回る会社では、この違いが控除できる金額を動かします。

3. 国外取引でも、国内で払った消費税は控除できる

ここが実務で最も見落とされる点です。「売上が不課税なら、対応する経費の消費税は控除できない」と考えてしまいがちですが、そうではありません。

国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合は、当該課税仕入れ等について法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるから留意する。この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。(消費税法基本通達11-2-11)

国税庁消費税法基本通達 第11章第2節(11-2-11 国外取引に係る仕入税額控除)

三国間取引のために日本国内で支払った経費、たとえば商談の通信費、契約書の翻訳料、日本の銀行に払った送金手数料のうち課税されるもの、日本の事務所の家賃のうち対応する部分などは、仕入税額控除の対象になります。個別対応方式を採っている場合は「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分します。共通対応ではありません。

この区分を誤ると、控除できる消費税が減ります。三国間取引の比率が高い商社では、金額に響きます。

4. いったん日本に輸入する場合との違い

同じ商品を扱っていても、日本の保税地域を経由して輸入し、あらためて輸出する場合は扱いが変わります。

三国間取引(直送)輸入してから輸出
仕入国外取引(不課税)輸入時に輸入消費税を納付
売上国外取引(不課税)輸出免税(税率0%)
仕入税額控除国内で払った経費の分は控除できる輸入消費税+国内経費の分を控除できる
課税売上割合分子・分母のどちらにも入らない分子・分母の両方に入る
必要な書類売買契約書、インボイス、船積書類など取引の実在を示すもの輸入許可通知書、輸出許可書

輸入してから輸出する場合、輸入時に納めた消費税は輸入許可通知書と帳簿の保存により控除できます。納めて控除するので、最終的な負担は三国間取引とほぼ変わりません。ただし資金は一度出ていきますし、控除を忘れれば納めっぱなしになります。

5. 実務で何に気をつければよいか

  • 会計ソフトの税区分を分けておく。三国間取引の売上は「対象外」、輸出売上は「免税」です。同じ「消費税がかからない」でも区分が違います。
  • 取引の実在を示す書類を残す。国外取引には輸出許可書がありません。売買契約書、相手先発行のインボイス、船積書類、送金記録をひとまとめに保管してください。
  • 国内経費の区分を「課税売上のみ対応」にする。共通対応にすると控除額が減ります。
  • 法人税では通常どおり売上と原価を計上する。消費税が不課税でも、所得の計算には関係ありません。

外貨建てで決済する場合の円換算や、売上の計上時期の考え方は別の記事にまとめています。

6. まとめ

  • 三国間取引は、譲渡の時に商品が国外にあるため国外取引となり、消費税はかからない。
  • 判定に使うのは「譲渡の時にモノがどこにあったか」。契約地も通貨も取引先の国籍も関係ない。
  • 国外取引のために国内で払った経費の消費税は控除できる。個別対応方式では「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」。
  • 日本に輸入してから輸出する場合は、輸入消費税を納めて控除し、売上は輸出免税になる。
  • 会計ソフトでは「対象外」と「免税」を分けて登録する。

三国間取引の税区分や、仕入税額控除の区分に不安がある場合

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よくある質問

三国間取引に消費税はかかりますか?

かかりません。資産の譲渡は、譲渡が行われる時にその資産が所在していた場所で国内取引かどうかを判定します(消費税法4条3項1号)。海外から海外へ直送する三国間取引では、譲渡の時点で商品が国外にあるため国外取引となり、課税対象そのものから外れます(不課税)。

契約書を日本で交わし、代金を円で受け取っていても国外取引ですか?

国外取引です。判定に使うのは、譲渡の時にモノがどこにあったかの一点だけです。契約を交わした場所、代金の通貨、取引先の国籍、送金した銀行の所在地は、いずれも判定に関係ありません。

三国間取引を「輸出免税」で処理してもよいですか?

区分が違うため、分けて処理してください。輸出免税は国内取引の一種で課税売上割合の分子と分母に入りますが、三国間取引は不課税でどちらにも入りません。課税売上割合が95%を下回る会社では、この違いが控除できる金額を動かします。会計ソフトの税区分は「対象外」にします。

国外取引のために国内で払った経費の消費税は控除できますか?

控除できます。消費税法基本通達11-2-11が、国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等にも法30条の規定が適用されると定めています。個別対応方式を採っている場合は「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分します。共通対応にすると控除額が減ります。

いったん日本に輸入してから輸出する場合は、どう変わりますか?

輸入時に輸入消費税を納め、輸出時は輸出免税(税率0%)になります。納めた輸入消費税は、輸入許可通知書と帳簿の保存により控除できます。最終的な負担は三国間取引とほぼ変わりませんが、資金が一度出ていくうえ、控除を忘れると納めっぱなしになります。

<注記>この記事は、中小企業の経営者や経理担当者の方に向けて、制度の全体像を分かりやすく説明することを目的としています。細部の要件は省略している箇所があります。個別の判断については、顧問税理士または当事務所にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の法令等に基づいています。