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海外の非居住者と、 オンラインコンサル(Zoom)した場合の消費税は必要か?!

この記事の要点3行でわかる結論

  • 日本にいながらオンラインで海外の非居住者にコンサルティングを行った場合、国内取引に当たりますが、非居住者に対する役務の提供として輸出免税になります。消費税は上乗せして請求しません。
  • 現地へ出向いて提供すれば国外取引で不課税、来日した相手に国内で提供すれば課税10%です。同じ相手でも提供の仕方で3通りに分かれます。
  • 輸出免税でも不課税でも、そのために国内で支払った経費の消費税は控除できます。海外案件の比率が高い事業者は還付を検討する余地があります。

オンライン会議が定着し、日本にいながら海外の会社や海外在住の個人にコンサルティングを提供する機会が増えました。税理士やコンサルタント、士業、講師業など、成果物ではなく役務そのものを売る事業では、消費税の扱いが問題になります。

結論から言えば、日本からオンラインで提供する場合、消費税を上乗せして請求しません。ただし理由は「相手が海外だから」ではありません。判定には順序があり、提供の仕方が変われば結論も変わります。

1. 提供の仕方で、扱いはどう分かれるか

同じ相手に同じ内容のコンサルティングを行っても、どこで提供したかによって扱いが変わります。

同じコンサルでも、どこで提供したかで3つに分かれる海外のお客様へのコンサルティング日本からオンライン→ 輸出免税(0%)現地へ出向いて→ 国外取引(不課税)来日した相手に国内で→ 課税10%
役務の提供が行われた場所で内外判定を行い、国内取引ならさらに輸出免税を検討します

順に見ていきます。

2. まず「どこで役務を提供したか」を判定する

消費税がかかるのは国内で行われた取引です。役務の提供については、消費税法4条3項2号によりその役務の提供が行われた場所で国内取引かどうかを判定します。

国税庁No.6210 国外取引

役務の提供が行われた場所とは、現実に役務の提供があった場所として具体的な場所を特定できる場合にはその場所をいうのであり、具体的な場所を特定できない場合であっても役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所があるときは、その場所をいうものとする。(消費税法基本通達5-7-15)

日本の事務所から画面越しに話しているのであれば、役務の提供を行った場所は日本です。相手が海外にいても、この判定は変わりません。したがって国内取引に当たり、消費税の課税対象になります。

一方、現地へ出向いて相手方のオフィスで提供したのであれば、役務の提供が行われた場所は国外です。この場合は国外取引となり不課税で、課税対象そのものから外れます。

3. 国内取引なら、次に輸出免税を検討する

日本からオンラインで提供したのであれば国内取引です。ここで終わりにすると10%を請求することになりますが、もう一段あります。非居住者に対する役務の提供は輸出免税の対象とされています。消費税法7条と消費税法施行令17条2項7号による扱いです。

国税庁No.6551 輸出取引の免税

非居住者向けでも、免税にならないものがある国内で行った非居住者向けの役務国内で直接便益を享受→ 課税10%それ以外→ 輸出免税(0%)
消費税法施行令17条2項7号。国内資産の運送・保管、国内での飲食・宿泊などは対象外です

ただし、非居住者向けなら何でも免税になるわけではありません。次のものは対象から外れます。

  • 国内に所在する資産に係る運送や保管
  • 国内における飲食や宿泊
  • これらに準ずるもので、その非居住者が国内において直接便益を享受するもの

ここが3つ目のケースにつながります。海外の会社の担当者が来日し、日本の事務所で対面のコンサルティングを受けたのであれば、その相手は国内で直接便益を享受しています。免税の対象から外れ、10%を請求することになります。


やました君

契約書に「オンラインで提供する」と書いてあっても、実際に来日した相手を国内でコンサルティングした分は別に判定します。オンラインと対面が混在する契約では、対価を合理的に区分できるようにしておくと、あとで説明がつきます。

4. 輸出免税でいう「非居住者」とは誰か

輸出免税の判定で使う「非居住者」は、外国為替及び外国貿易法の定義によります。日本人か外国人かではなく、住んでいる場所で決まります。海外に住んでいる日本人も非居住者に当たります。

国内に支店や事務所を持つ外国法人については、その支店等が国内にある限り居住者として扱われる場面があります。相手が日本国内に拠点を持っている場合は、契約の相手方がどちらなのかを確認してください。

5. 免税と不課税は、どちらも仕入税額控除ができる

輸出免税(オンライン提供)と不課税(現地提供)は区分が違いますが、そのために国内で支払った経費の消費税を控除できる点は共通です。

国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合は、当該課税仕入れ等について法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるから留意する。この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。(消費税法基本通達11-2-11)

国税庁消費税法基本通達 第11章第2節(11-2-11 国外取引に係る仕入税額控除)

会議ツールの利用料、資料作成の外注費、事務所の家賃など、国内で消費税を払った経費は控除できます。売上側がゼロである以上、海外案件の比率が高ければ計算はマイナスになり、還付につながります。

輸出免税(オンライン提供)不課税(現地提供)課税(来日した相手に国内で)
請求に消費税を乗せるか乗せない(税率0%)乗せない乗せる(10%)
対応する経費の消費税控除できる控除できる控除できる
課税売上割合分子・分母の両方に入るどちらにも入らない分子・分母の両方に入る
会計ソフトの税区分免税対象外課税10%

6. 配信型のサービスは別のルール

コンサルティングのように相手と対話して提供する役務と、インターネットを通じて役務そのものを配信する取引とでは、判定の入口が違います。後者は電気通信利用役務の提供と呼ばれ、電子書籍や音楽の配信、クラウドサービス、ネット広告の配信などが該当します。

国税庁No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係

電気通信利用役務の提供が国内において行われたかどうかの判定は、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が国内にあるかどうかにより判定する。(消費税法基本通達5-7-15の2)

収録済みの動画講座を販売する、会員制のオンライン教材を提供するといった形態は、こちらに当たる可能性があります。同じ「オンラインで提供する」でも、対話型のコンサルティングと配信型のコンテンツ販売では判定のルートが異なります。事業の形が配信型に寄っている場合は、契約単位で確認してください。

7. 実務で、どんな書類を残しておくか

役務の提供は、輸出許可書のような公的な証明書が出ません。免税や不課税の根拠は、自社で残す書類で示すことになります。

  • 契約書。相手方の名称と所在地、提供する役務の内容、提供の方法(オンラインか現地か)を明記する。
  • 相手方が非居住者であることが分かる資料。登記事項や所在地が確認できるもの。
  • 実施記録。オンライン会議の日時、参加者、議事メモ。
  • 請求書と入金記録。外貨で受け取った場合は円換算のレートと根拠も。

8. まとめ

  • 日本からオンラインで非居住者にコンサルティングを提供した場合、国内取引だが輸出免税となり、消費税は上乗せしない。
  • 現地へ出向いて提供すれば国外取引で不課税。来日した相手に国内で提供すれば課税10%。
  • 非居住者向けでも、国内で直接便益を享受するものは免税の対象外。
  • 免税でも不課税でも、対応する国内経費の消費税は控除できる。還付につながる。
  • 配信型のサービスは「電気通信利用役務の提供」として、受ける者の住所等で判定する別ルール。
  • 公的な証明書がないため、契約書と実施記録で根拠を残す。

海外のお客様への役務提供で、消費税の扱いに迷っている場合

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よくある質問

日本から海外の会社にオンラインでコンサルティングをした場合、消費税はかかりますか?

上乗せして請求しません。日本の事務所から提供している以上、役務の提供が行われた場所は日本なので国内取引に当たりますが、非居住者に対する役務の提供として輸出免税になります(消費税法7条、同法施行令17条2項7号)。「相手が海外だから不課税」ではなく、国内取引と判定したうえで免税になるという順序です。

現地に出向いて提供した場合と、来日した相手に提供した場合はどうなりますか?

現地の相手方オフィスで提供したなら役務の提供場所は国外なので、国外取引で不課税です。来日した相手に日本の事務所で対面提供したなら、その相手は国内で直接便益を享受しているため免税の対象から外れ、10%を請求します。同じ相手・同じ内容でも、提供の仕方で3通りに分かれます。

輸出免税の「非居住者」は、どう判定しますか?

外国為替及び外国貿易法の定義によります。日本人か外国人かではなく、住んでいる場所で決まるため、海外に住んでいる日本人も非居住者です。国内に支店や事務所を持つ外国法人は、その支店等が国内にある限り居住者として扱われる場面があるので、契約の相手方がどちらかを確認してください。

消費税を請求しないと、経費の消費税は控除できなくなりますか?

控除できます。輸出免税でも不課税でも、そのために国内で支払った経費の消費税は仕入税額控除の対象です(消費税法基本通達11-2-11)。会議ツールの利用料、資料作成の外注費、事務所の家賃などが該当します。海外案件の比率が高ければ計算はマイナスになり、還付につながります。

オンライン講座や動画教材の販売も、同じ判定でよいですか?

別のルートで判定します。インターネットを通じて役務そのものを配信する取引は「電気通信利用役務の提供」に当たり、提供を受ける者の住所または本店の所在地が国内にあるかどうかで判定します(消費税法基本通達5-7-15の2)。対話型のコンサルティングと配信型のコンテンツ販売では入口が違うため、契約単位で確認してください。

<注記>この記事は、中小企業の経営者や経理担当者の方に向けて、制度の全体像を分かりやすく説明することを目的としています。細部の要件は省略している箇所があります。個別の判断については、顧問税理士または当事務所にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の法令等に基づいています。