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国外財産調書は出すだけで加算税が半分になります|提出期限は6月30日、遅れたらどうなるか

この記事の要点3行でわかる結論

  • 国外財産調書を提出期限内に出しておくと、あとで申告漏れが見つかったときの過少申告加算税が5%軽減されます。調査を受けてからの修正申告なら10%のところが5%です。
  • 逆に出していないと5%加重されて15%。さらに書類の提示に応じないと10%加重で20%になります。出すか出さないかで4倍違います。
  • 提出期限は翌年6月30日です。所得税の申告期限(3月15日)ではありません。期限に遅れても、調査の通知が来る前に出せば期限内に出したものとみなされます。通知が来てからでは手遅れです。

国外財産調書は、出しておくだけで加算税が半分になります。出していないと3倍です。

海外に5,000万円を超える財産をお持ちの方には、国外財産調書の提出義務があります。「面倒な書類が増えただけ」と思われがちですが、この調書には、出した人だけが得をする仕組みがついています。

そして、その仕組みが効くかどうかは「提出期限までに出したかどうか」で決まります。

1. 結論|出すか出さないかで、加算税は4倍変わります

国外財産について申告漏れが見つかり、税務署の調査を受けてから修正申告をしたとします。このとき本来かかる過少申告加算税は10%です。

そこに、国外財産調書を出したか出していないかで、次の調整が入ります。

状況過少申告加算税
調書を期限内に提出していた
(その国外財産の記載あり)
10% − 5% = 5%
調書を出していなかった
(または、その国外財産の記載がない)
10% + 5% = 15%
さらに、求められた書類の提示等に応じなかった10% + 10% = 20%

5%と20%。同じ申告漏れなのに4倍です。

2. 100万円の申告漏れなら、いくら違うのか

申告漏れが100万円あったときの過少申告加算税調査の通知前に自分で修正申告かからない調書を期限内に出していた5%調書を出していなかった15%さらに書類の提示にも応じない20%
増差税額の全額が10%の帯に収まる場合。割合を100万円に掛けた金額が、そのまま加算税になります。

前提

海外の不動産の賃料や国外口座の利子について申告が漏れており、あとから納める所得税が100万円になったとします。

状況割合加算税の額
調査の通知前に自分で修正申告—0円
調書を期限内に出していた5%5万円
調書を出していなかった15%15万円
さらに書類の提示にも応じない20%20万円

調書を1枚出していたかどうかで、10万円の差がつきます。これは加算税だけの話で、別に延滞税もかかります。

計算の前提について

過少申告加算税は、新たに納める税金が「当初の申告納税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超える部分について、割合が10%から15%に上がります。

上の例は、100万円の全額が10%の帯に収まる場合(当初の申告納税額が100万円以上だった場合など)で計算しています。超える部分がある場合は、その分だけ金額が増えます。

3. 5%軽減の条件は2つだけです

同じ申告漏れでも、加算税は3倍変わります国外財産の申告漏れ調書を出していた10% → 5%に軽減出していなかった10% → 15%に加重
調査を受けた後に修正申告した場合の割合です。軽減も加重も「その国外財産に関する申告漏れに係る部分」が対象です。
条件1国外財産調書を提出期限内に提出していること
条件2その調書に、申告漏れの基因となった国外財産の記載があること

ここで大事なのは、軽減されるのは「その国外財産に関する申告漏れに係る部分」だけだということです。

たとえば、海外の口座の利子と、国内の不動産の賃料の両方で申告漏れがあった場合、軽減されるのは海外の口座に関する部分だけです。国内財産に係る申告漏れや、人的役務の提供の対価に関する申告漏れ、所得控除・税額控除の適用誤りは対象外です。

また、重加算税の対象となる仮装隠蔽の事実がある部分も、軽減・加重の対象から外れます。隠していた分は、この制度では救われません。

国税庁国外財産調書制度FAQ(令和8年8月)問40・問41

国税庁No.2026 確定申告を間違えたとき

4. 提出期限は「6月30日」です。3月15日ではありません

ここがいちばん間違えやすいところです

国外財産調書の提出期限は、その年の翌年6月30日です。

令和4年分以前は所得税の確定申告と同じ3月15日でしたが、令和5年分から6月30日に後倒しされています。「確定申告と一緒に出すもの」と思っていると、期限を取り違えます。

対象判定日提出期限
令和7年分令和7年12月31日令和8年6月30日(終了)
令和8年分令和8年12月31日令和9年6月30日

提出期限が日曜日にあたるときはその翌日まで、土曜日にあたるときはその翌々日までとなります。

いま(令和8年9月)の時点でいえば、次の判定日は令和8年12月31日です。年末の残高で決まりますので、年内に一度、海外の財産を数えておくことをおすすめします。

5. 期限に間に合わなかったら、もう無理なのか

ここは救いがあります。ただし条件つきです。

間に合わなかったときの、最後の線本来はここまでに出す遅れても、通知前なら期限内とみなされる12月31日この日の残高で判定6月30日提出期限調査の通知ここが最後の線調査
提出期限を過ぎても、調査の通知が来る前に出せば軽減措置を受けられます(国外送金等調書法6⑥)。

提出期限後に国外財産調書を提出した場合であっても、次の条件を満たせば「提出期限内に提出されたもの」とみなされ、軽減措置を受けられます。

条件1その国外財産に係る所得税・相続税について、調査があったことにより更正または決定があるべきことを予知してされたものでないこと
条件2その提出が、調査通知がある前にされたものであること

国外送金等調書法6⑥。条件2は令和6年1月1日以後に提出された場合の要件です。

裏を返せば、税務署から調査の通知が来てしまったら、そこから慌てて出しても軽減は受けられません。

「出し忘れていた」と気づいた時点が勝負です。通知が来る前に出す。これだけで、加算税の扱いが15%から5%に変わります。

国税庁同 問51(提出期限後に提出された国外財産調書の取扱い)

国税庁国外財産調書制度のあらまし(令和8年8月)

6. そもそも誰が出すのか

対象になる方居住者(非永住者の方を除きます)で、その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える方
提出先住所地等の所轄税務署
添付「国外財産調書合計表」を作成して添付します
評価12月31日における「時価」または「見積価額」。外貨建ては同日の外国為替の売買相場で円換算します

5,000万円は合計額で判定します。日本国内の財産は含みません。海外の不動産、証券口座、預金、保険などを合わせて超えるかどうかです。

※ 相続が開始した年分については、相続または遺贈で取得した国外財産(相続国外財産)を記載しないで提出することができます。この場合、提出義務の判定からも相続国外財産を除きます。

7. 罰則もあります

偽りの記載をして提出した場合、または正当な理由がなく提出期限までに提出しなかった場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されることがあります。

ただし、正当な理由がなく期限までに提出しなかった場合については、情状によりその刑を免除できることとされています。

8. 実際には、どうなっているのか

国税庁が公表している令和6年分の数字を見ておきます。

総提出件数14,544件
総財産額8兆1,945億円

そして、加算税の特例措置が実際に適用された件数です(令和6事務年度の所得税・相続税の実地調査の結果)。

件数増差所得等金額
軽減措置(出していた)221件57億円
加重措置(出していなかった)366件170億円

重くなった側のほうが、件数でも金額でも上回っています。調査で国外財産の申告漏れが見つかった方のうち、6割超が調書を出していなかった計算になります。

※ 軽減と加重は母数が違います(出した人/出していない人)ので、単純に比べる数字ではありません。それでも「出していない人ほど申告漏れも起きている」という関係は読み取れます。

9. 出し忘れやすい財産

海外で働いていた頃の口座帰国後もそのままにしている口座。動いていなくても12月31日の残高で判定します
海外の証券口座時価で判定するため、売っていなくても評価額が上がれば5,000万円を超えることがあります
相続で引き継いだ海外資産ご両親が持っていた海外の不動産や口座
海外の年金・保険保険契約に関する権利なども対象です

10. まとめ

  • 国外財産調書を期限内に出しておくと、あとで申告漏れが見つかったときの過少申告加算税が5%軽減されます。調査を受けてからの修正申告なら、10%が5%になります。
  • 出していないと5%加重で15%。書類の提示にも応じないと10%加重で20%です。
  • 100万円の申告漏れなら、5万円と20万円の差になります。
  • 提出期限は翌年6月30日。所得税の申告期限(3月15日)ではありません。
  • 期限に遅れても、調査の通知が来る前に出せば期限内提出とみなされます。通知後では手遅れです。
  • 令和6事務年度の実績では、加重された件数のほうが軽減された件数を上回っています。

対象になる方は、必ず出してください。書くこと自体は手間ですが、出しておけば加算税が半分になり、出していなければ1.5倍になります。これだけ差がつく書類は、そう多くありません。

「5,000万円を超えているかどうか微妙で分からない」「何を書けばいいのか分からない」という方は、判定だけでもお受けします。年末の残高で決まりますので、年内に一度ご相談ください。初回のご相談は無料です。

よくある質問

国外財産調書を出しておくと、具体的に何が得なのですか?

あとで国外財産について申告漏れが見つかったとき、その国外財産に関する部分の過少申告加算税が5%軽減されます。調査を受けてから修正申告をした場合の割合は10%ですので、これが5%になります。逆に出していないと5%加重されて15%になりますので、出すか出さないかで3倍の差がつきます。

提出期限はいつですか?確定申告と同じですか?

違います。国外財産調書の提出期限は、その年の翌年6月30日です。令和4年分以前は所得税の確定申告と同じ3月15日でしたが、令和5年分から6月30日に後倒しされました。令和8年分であれば令和9年6月30日が期限です。

提出期限を過ぎてしまいました。もう軽減は受けられませんか?

受けられる場合があります。提出期限後の提出であっても、その国外財産に係る所得税・相続税について調査があったことにより更正・決定があるべきことを予知してされたものでなく、かつ調査通知がある前に提出されたものであれば、提出期限内に提出されたものとみなされます。ただし税務署から調査の通知が来た後では適用されませんので、気づいた時点で早めにご提出ください。

100万円の申告漏れだと、加算税はいくら変わりますか?

増差税額100万円の全額が10%の帯に収まる場合、調書を期限内に出していれば5%で5万円、出していなければ15%で15万円、さらに書類の提示等に応じなければ20%で20万円です。なお過少申告加算税は、新たに納める税金が「当初の申告納税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超える部分について割合が上がりますので、実際の金額は当初の申告内容によって変わります。

国内の財産の申告漏れも一緒に見つかった場合、全部が5%になりますか?

なりません。軽減されるのは「その国外財産に関する申告漏れに係る部分」だけです。国内財産に係る申告漏れ、人的役務の提供の対価に関する申告漏れ、所得控除・税額控除の適用誤りは対象外です。また、重加算税の対象となる仮装隠蔽の事実がある部分も、軽減・加重の対象から外れます。

書類の提示を求められたら、いつまでに出せばよいのですか?

国外財産の取得・運用・処分に係る書類の提示等を求められた場合、求められた日から60日を超えない範囲内で、準備に通常要する日数を勘案して指定された期限までに提示等をする必要があります。この期限までに提示等がないと、軽減措置は適用されず、加重の割合も5%から10%に引き上げられます。

誰が提出しなければならないのですか?

居住者の方(非永住者の方を除きます)で、その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える方です。日本国内にある財産は含みません。海外の不動産、証券、預金などを合計して判定します。提出の際は「国外財産調書合計表」を添付します。

出さなかった場合、罰則はありますか?

あります。偽りの記載をして提出した場合、または正当な理由がなく提出期限までに提出しなかった場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されることがあります。ただし、正当な理由がなく期限までに提出しなかった場合については、情状によりその刑を免除できることとされています。

<注記>この記事は、国税庁が公表した資料に基づいて制度の全体像をご説明するものです。細部の要件は省略している箇所があります。加算税の金額は当初の申告内容によって変わります。個別の判断については、顧問税理士または当事務所にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の公表資料および法令等に基づいています。