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【福岡県】特定金属くず買受業の届出とは?警察署に出す書類と期限
この記事の要点3行でわかる結論
- 特定金属くず買受業の届出は、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に、平日9時から16時までの間に提出します。手数料はかかりません。
- 個人は平面図・略図と本籍記載の住民票、法人はこれに定款の謄本と登記事項証明書、代表者の住民票が加わります。
- この届出をしていることが、令和8年9月1日以後の消費税の仕入税額控除(特定金属くず特例)の前提になります。
令和8年9月1日から、銅を主とする金属くずについては、金属盗対策法の届出をした事業者だけが帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けられるようになりました。つまり、税務署ではなく警察署への届出が、消費税の取扱いを左右します。
この記事では、福岡県を例に、どこへ、いつまでに、何を提出するのかを整理します。以下の内容は、福岡県警察本部生活保安課「特定金属くず買受業ガイド」(令和8年5月)および福岡県警察の案内に基づいています。
1. 誰が届出をしなければならないのか
主に銅で構成されている金属くず(特定金属くず)の買受けを行う営業をする個人または法人です。壊れた室外機、切断された金属ケーブル、銅線、マンホールのふた、グレーチングなどの買取が対象になります。
実務上、次の点に注意が必要です。
- 届出は営業所ごとに、営業主体である個人または法人が行います。
- 営業を他人に譲渡したり承継したりすることはできません。個人事業主が法人化する場合も、法人として新たに届出が必要です。
- 届出の名義を他人に貸す行為は処罰の対象です。
- 古物商許可を持っていても、この届出は別途必要です。
2. いつまでに届け出るのか
これから営業を始める場合は営業開始の前日まで、令和8年6月1日時点ですでに営業していた場合は令和8年8月31日までです。
| 場面 | 期限 |
|---|---|
| これから営業を始める | 営業開始の前日まで |
| 令和8年6月1日時点ですでに営業している | 令和8年8月31日まで |
| 届出事項に変更があった | 変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付する場合は20日以内) |
| 営業をやめた | 廃止の日から14日以内 |
営業所を移転する場合は変更届ではありません。移転先の営業所を管轄する警察署に、新たに営業開始届出書を提出します。間違えやすいところです。
3. どこに、どうやって提出するのか
営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課です。県警本部ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 営業所の所在地を管轄する警察署 |
| 窓口 | 生活安全課 |
| 受付時間 | 平日 午前9時〜午後4時 |
| 手数料 | なし |
| 代理提出 | 可能。ただし委任状が必要(法人の従業員が持参する場合も同じ) |
受付は平日の16時までと短めです。届出書の様式は、営業開始届出書(別記様式第1号)、届出事項変更届出書(別記様式第3号)、営業廃止届出書(別記様式第2号)の3種類で、福岡県警察のサイトからPDFとWordの両形式でダウンロードできます。
4. 添付書類には何が必要か
営業開始届出書には、個人と法人で異なる書類を添付します。
個人の場合
- 営業所および特定金属くずの保管場所の平面図、並びにそれらの周囲の略図
- 住民票の写し(日本人は本籍、外国人は国籍等が記載されたもの)
法人の場合
- 営業所および特定金属くずの保管場所の平面図、並びにそれらの周囲の略図
- 代表者の住民票の写し(本籍または国籍等が記載されたもの)
- 定款の謄本
- 登記事項証明書
住民票は「本籍の記載あり」で取得します。本籍を省略して取ってしまい、窓口で取り直しになる例が多いところです。平面図と略図には決まった様式がなく、営業所と保管場所の位置関係、建物のどこに保管しているかが分かるものであれば足ります。保管場所が営業所と離れている場合は、特に丁寧に描いてください。
変更届・廃止届に付けるもの
| 変更した事項 | 添付書類 |
|---|---|
| 個人の氏名、住所 | 住民票の写し(本籍等記載) |
| 法人の名称、所在地 | 登記事項証明書 |
| 法人代表者の氏名 | 登記事項証明書 + 住民票の写し |
| 特定金属くずの保管場所の所在地 | 平面図・略図(保管場所に係るもの) |
| 営業所の名称 | 不要 |
| 営業所の電話番号、メールアドレス等の連絡先 | 不要 |
| 営業の廃止 | 不要 |
5. 添付書類を省略できる場合があるのか
あります。同一の公安委員会に届け出る場合、次の2つの簡略化が認められています。
- すでに届出をして営業している事業者が、県内の別の警察署管内で新たに営業しようとする場合、その届出の添付書類は「営業所および特定金属くずの保管場所の平面図並びにそれらの周囲の略図」のみで足ります。住民票、定款、登記事項証明書は不要です。
- 複数の営業所について同時に届出書を提出する場合は、いずれかの営業所を管轄する警察署にまとめて提出できます。内容が同一になる添付書類は、1通を添付すれば足ります。
福岡県内に営業所が複数ある会社は、警察署ごとにばらばらに出すより、まとめて提出したほうが書類も手間も少なくて済みます。
6. 届出をした後に、どのような義務が生じるのか
表示、本人確認、記録の作成と保存の3つです。届出は入口にすぎません。
氏名等の表示
営業所の入口など、通行する人から見えやすい場所に、明瞭かつ読みやすい大きさで、氏名または名称、届出をした公安委員会、届出番号を表示します。標準の様式が用意されていますが、法令に規定された事項が網羅されていれば、その様式による必要はありません。
自社のウェブサイトのトップページなど、消費者の目につきやすい箇所にも同じ内容を表示します。ただし、従業者数が5人以下の場合、またはウェブサイトを持っていない場合は免除されます。
本人確認
買受けのたびに、相手方の氏名・住居・生年月日等(本人特定事項)を確認します。自然人からの買受けでは、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカードなどの顔写真付き本人確認書類の提示を受ける方法が基本です。非対面取引では、本人確認書類の写真と顔写真の送信を受ける方法などが認められています。
法人から買い受ける場合は、取引の任に当たっている自然人の確認に加えて、法人自体の確認も必要です。登記事項証明書や印鑑登録証明書の提示を受ける方法のほか、法人の名称と本店所在地の申告を受けたうえで国税庁法人番号公表サイトで確認する方法などがあります。自然人と法人の両方が必要である点は、見落としの多いところです。
次の場合は本人確認が不要です。
- 買受けの相手方との2回目以降の取引で、代金の支払いをその相手方の口座への振込みにより行う場合
- 特定金属くずを自ら輸入する場合
本人確認記録・取引記録の作成と保存
本人確認を行ったら直ちに本人確認記録を作成し、提示等を受けた本人確認書類の写しを添付します。買受けを行ったら直ちに取引記録を作成します。いずれも文書または電磁的記録で3年間保存します。
| 記録 | 主な記録事項 |
|---|---|
| 本人確認記録 | 本人確認を行った者と記録の作成者の氏名、確認書類の提示を受けた日付、確認の方法、確認書類の名称と記号番号、相手方の本人特定事項、取引の任に当たっている自然人の本人特定事項、異名を用いるときはその名義と理由 など |
| 取引記録 | 相手方の氏名または名称、買受けの日付および時刻、買い受けた特定金属くずの特徴・量・価格、代金の支払方法、口座振込のときは口座を特定できる事項 |
やました君
取引記録の項目は、消費税の帳簿に必要な記載事項とかなり重なります。警察向けの記録と会計帳簿を二重に作るのではなく、買取システムや会計データから取引記録を出力できる形に設計しておくほうが、結果的に手間が減ります。
警察官への申告
取引の態様その他の事実に照らして、買い受けた特定金属くずが盗難品に由来する疑いがあると認めたときは、直ちに警察官に申告しなければなりません。取引をしたことがない個人が一度に大量の特定金属くずを持参した場合や、本人確認書類に不自然な点がある場合が、判断の目安として挙げられています。
7. 違反するとどうなるのか
行政処分のほか、罰則が定められています。警察職員は営業時間中に営業所や保管場所に立ち入り、特定金属くずや本人確認記録等を検査することができます。
| 違反行為 | 罰則 |
|---|---|
| 無届営業 | 6月以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金(併科あり・両罰あり) |
| 名義貸し | 6月以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金(併科あり・両罰あり) |
| 営業停止命令違反 | 6月以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金(併科あり・両罰あり) |
| 届出書等の虚偽記載、変更・廃止届出義務違反 | 30万円以下の罰金(両罰あり) |
| 報告義務違反、立入検査等の拒否 | 30万円以下の罰金(両罰あり) |
| 指定金属切断用具の隠匿携帯 | 1年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金 |
8. まとめ
- 福岡県では、営業所を管轄する警察署の生活安全課に、平日9時から16時まで、手数料なしで提出する。
- 個人は平面図・略図と本籍記載の住民票、法人はこれに定款の謄本と登記事項証明書、代表者の住民票が加わる。
- 既存事業者の届出期限は令和8年8月31日。営業所の移転は変更届ではなく、新たな営業開始届。
- 県内に複数の営業所があるときは、まとめて提出すると添付書類が1通で足りる。
- 届出後は、標識の掲示、本人確認、本人確認記録と取引記録の作成・3年保存が必要になる。
- この一連の手続きが、令和8年9月1日以後の消費税の仕入税額控除の前提になる。
銅くずを扱う事業者の消費税について
当事務所では、届出の有無、仕入先の登録状況、帳簿の記載方法を並べて確認し、令和8年9月1日以後に仕入税額控除が通る形になっているかをご確認しています。輸出をされている場合は、還付額への影響もあわせて試算します。
よくある質問
特定金属くず買受業の届出は、どこに出すのですか?
税務署ではなく、営業所の所在地を管轄する警察署です。福岡県では生活安全課が窓口で、受付時間は平日の午前9時から午後4時までです。届出は営業所ごとに行い、手数料はかかりません。代理人が持参する場合は委任状が必要です。
届出にはどのような書類が必要ですか?
個人の場合は、営業所および特定金属くずの保管場所の平面図とそれらの周囲の略図、本籍(外国人は国籍等)が記載された住民票の写しです。法人はこれに加えて、代表者の住民票の写し、定款の謄本、登記事項証明書が必要です。
古物商の許可を持っていれば、届出は不要ですか?
不要にはなりません。古物商許可と特定金属くず買受業の届出は別の制度です。銅を主とする金属くずの買受けを行う営業をするのであれば、古物商許可の有無にかかわらず、公安委員会への届出が必要です。
営業所を移転するときは、変更届でよいですか?
変更届ではありません。移転先の営業所を管轄する警察署に、新たに営業開始届出書を提出する必要があります。氏名や住所、法人の名称、代表者の氏名、営業所の名称、連絡先、保管場所の所在地の変更は、変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付する場合は20日以内)に変更届を出します。
届出をした後は、どのような義務がありますか?
営業所の見えやすい場所に氏名等・公安委員会・届出番号を表示し、買受けのたびに相手方の本人確認を行い、本人確認記録と取引記録を作成して3年間保存します。従業者が5人以下の場合やウェブサイトを持っていない場合は、ウェブサイトへの表示義務は免除されます。
<注記>この記事は、中小企業の経営者や経理担当者の方に向けて、手続きの全体像を分かりやすく説明することを目的としています。福岡県以外では窓口や受付時間、運用が異なる場合があります。実際の届出前に、必ず管轄の警察署にご確認ください。記載内容は2026年9月時点の法令等に基づいています。





